-原唯早夫氏- (句集「風花」より昭和63年以前)
これから出掛けなくてはならない朝だろうか。
何時もの様に、髭剃りに必要な時間を取って
きちんと鏡を見ながら泡を付けて剃刀で剃って居る。
その時、鏡の隅にふわふわと雪の様なものが目に入り、
そちらを振り向いて良く見ると綿虫だった
…と言う風にまず想像したのだが
何故、「髭剃ってゐる」と「綿虫の飛んでゐる」が
完全に並列しているのだろうと不思議に思った。
二つの動作を写真の様に焼き付ける為だけだろうか?
「おお、綿虫が飛んでいる…」と言う
何か感慨の様な物と同じ重さを以て
「髭剃ってゐる」自分が居るのかも知れない。
もしそうだとしたら
髭を剃らなかった日々は
どんな日々だったのだろう…。
Den Hügel stampfend - 丘を踏み
8 years ago
0 comments:
Post a Comment